アイコムからクレーン作業の安全性・効率性を高める同時通話型特小機Withcall Proシリーズが発表!

2023年11月19日

回線補償器を導入した一連の製品群

回線補償器により従来よりも広い範囲をカバーすることが可能

アイコムからクレーン作業をより安全に、より効率的に運用出来るように同時通話型の特小機「Withcall Pro)が発表となりました。
Withcall Proは一連の製品群を現しており、その内容は以下の製品で構成されています。

・IC-5880 同時通話特小無線機(子機) 発売時期:2023年1月発売
・IC-MS5880 同時通話特小無線機(親機) 発売時期:2023年11月29日
・AG-5880 回線補償器 発売時期:2023年12月20日

製品の詳細について

アイコムから発表された製品の詳細は以下の通りです。
以下アイコムからのアナウンス

本機は、建設現場や工場、プラントなどで重量物をクレーンで移動させる際に、クレーンオペレーターと作業員が連携するために使用するトランシーバーです。「話す」と「聞く」を通話ボタンで切り替えて通話する一般的なトランシーバーとは異なり、電話のように「話す」と「聞く」を同時に行える同時通話型です。さらに音声遅延の少ないアナログ方式を採用しており、緻密な指示やタイミングが重要視される作業現場で大きな効果を発揮します。特定小電力トランシーバー規格に合致しているため、免許・資格が不要で購入後すぐに使用することができます※。

また、親機IC-MS5880(1台)と子機IC-5880(4台まで)で最大5者間の同時通話を実現します。親機間を相互接続ケーブルで連結することで、 最大9者間(親機1組・子機8台)による同時通話システムを構築。弊社従来機であるIC-MS4880/IC-4880との互換性を確保し、親機、子機のいずれかだけを従来機種と入れ替えることも可能です。

さらに、新開発の回線補償器※AG-5880(別売品)により、従来の同時通話システムではカバーしきれなかった工場やプラントなどより広い作業現場での同時通話を実現します。親機から離れた場所(最長150m)に、中継アンテナのように動作する回線補償器を設置し、コミュニケーション範囲を拡張できます。

<主な仕様>

  • クレーン作業向け同時通話システムを構築するトランシーバー。
  • 電話のように「話す」と「聞く」を同時に、しかもボタン操作なしで行うことができる。
  • 親機2台を相互接続ケーブルで連結し、最大9者間による同時通話システムを構築。
  • 別売の回線補償器※により、同時通話の通話エリアを拡張。
  • 回線補償器は3台まで接続可能、最長150メートルまで延長可能。

なぜ回線補償器が必要か?

今回発表された製品では、回線補償器「AG-5880」と言う製品が新しい概念として登場しました。
一般的な同時通話型の特小機は、連続送信となるため、出力が10mWではなく1mWに抑えられています。
この1mWと言う微弱な出力では、カバーできる範囲もかなり狭く、物陰に入っただけでも電波が途切れる事も頻繁にあったようです。
そのような不便をアイコムは「回線補償器」というレピーターと同様な装置を介在させることによって通話エリアを拡大することを思いつきました。
この回線補償器は最大3台まで増設でき、3台使用した場合は、約150mの距離をサービスエリアとすることが可能としています。
ただし、回線補償器を使用する場合は、総務省への免許申請が必要となります。

動作のイメージ

文章で書いても表現が難しいので、図で動作のイメージを書いてみました。

上記はIC-5880とIC-MS5880が電波の届く範囲内で直接電波で通信を行っているイメージ図です。
IC-MS5880も特小無線機なのでアンテナが取り付けられている。
そのアンテナを使って子機となるIC-5880と交信を行うことが出来ます。

上図は2台あるIC-5880(子機)と直接通信できない場合、中間にAG-5880(回線補償器)を介することによって子機同士の通信が可能となります。
もちろんIC-MS5880(親機)とも通信が可能です。
AG-5880 からは、出力1mWの特小波が発信されています。
このときAG-5880とIC-MS5880は同軸にて接続することになり、IC-MS-5880(親機)はコンソール的な動作となるため、特小機として電波の送受信は出来ません。

上図は最大化したシステムのイメージ図です。
AG-5880は最大で3台まで数珠つなぎで接続できます。
AG-5880間は同軸ケーブルで接続することとなります。

AG-5880を使用するときは局免許が必要

今回紹介しましたシステムは基本的には「特小」なので免許や資格は必要ありません。
ただしAG-5880を使用する場合に限り「局免許」が必要となります。
局免許の取得については、試験電波の発射出来る「予備免許」を取得した後、本格的に仕事で使うための「本免許」を落成検査を経て取得する必要がある2段階の免許申請となっています。
本免許取得まで時間を要することから、工事現場など短期間での使用ではなく、鉄工場など設置場所の定まった、大型のクレーンが設置してあるような大規模な事業所での使用が想定されています。
免許申請については、販売店や出入りの業者にお尋ねください。